中国人はどうして、こんなに龍が好きなのだろう。そんな思いから龍探しがはじまった。上は支配者から下は庶民まで、彼らの龍好きは徹底している。皇帝の衣服に龍が躍動し、調度や陶磁器に龍が天翔る。民間には、土の素朴な龍や稚拙な版画の龍があり、春節は龍踊りでにぎわう。「龍の鱗の餅」「龍のヒゲの麺」を食べる習慣もある。漢字文化圏で生活のなかに深く融けこんだ龍。その変遷を六千年にわたり、幅ひろく跡づけている。
新潮選書 四六判255ページ
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